第42回スポットライト 2025年7月作成
2012年に、甲賀市内のレイカディア大学卒業生4名で発足した「ささゆりサポート隊」は、「みなくちこどもの森」のササユリ自生地を笹刈りで環境状態を良くすることで自力による育成を目指しました。同時にササユリの数が少なくなった危機(現実)から脱却するため、人為的にササユリの球根づくりを始めました。(活動について詳しくは後述)
甲賀市で開催された第72回全国植樹祭時には約200株が開花、記念の年として隊員から「私たちが育てた甲賀市の花:ササユリを多くの方に知ってもらおう!観てもらおう!」の声を聴きボランティユリアガイドが立ちあがり生育地への案内をしています。今年で4年目を迎えました。現在の隊員は22名で、卒業生のみならず、授業のない時の在校生も参加しています。
ササユリは、西日本に咲く野生のユリで、里地〜山地の森林に自生し、6月が開花時期です。笹に似た細い葉を有し、甘い香りの白〜ピンク色の花を咲かせます。
種(さく果)から花が咲く球根に成長するのに5〜10年もの長時間を要し、条件の揃った年に、1〜数輪の花を1週間程咲かせます。
2004年に甲賀市の花に指定されましたが、近年の生活様式の変化に伴う里山の手入れ不足が原因となって、ササユリに都合の良い生息環境が減少し、2017年にはレッドリスト(絶滅要注目種)に指定されています。
サポート隊の主な活動は、「子どもの森」の職員さんの指導を受けながら、11月から3月の冬場に、子どもの森で咲いたササユリの種(さく果)から球根を作り、5〜6年かけて大きな球根に育て上げ、球根を地植え(自生するように)します。一方、ササユリの自生地の笹刈りを行い、重要な生育環境を整えます。寒い時期の活動ですが、6月にササユリが開花し、来園者に喜んでいただけるように頑張って活動しています。
作業後にはストーブを囲みながら仲間と共にお茶会で交流を深め、そして、慰労会は楽しみの一つです。
こうして約10年余りの活動の結果、ボランティア活動開始時には、「子どもの森」園内に50株しか生息していなかったササユリは徐々に増加し、2024年には200株にも増加し、努力が実を結んでいます。
ところが、2025年5月に、昨年の自生地(群生地)の1か所が「ユリクビナガハムシ」という害虫にやられ、壊滅状態となりました。「子どもの森」では
自然状態維持が原則の為、駆除用薬剤が使用できません。獣害対策に加え
害虫の除去対応等、今後の対応策が重要課題となりました。
来園者は市内のみならず、なかでも市外のからの見学者は里山に興味ある方で、皆さんと一緒に里山の自然に触れ、ササユリ以外の花や植物、生き物にも親しんでいける楽しいイベントに満足して帰られました。
来園記念に手作りした「ササユリの栞」は記念品として好評でした。
これらの活動は、新聞等のマスコミからも伝達され、認知度が上がってきていることも活動の励みになっています。
「ささゆりサポート隊」は、ボランティア活動の楽しさを知ったシニア世代の
仲間です。今後はササユリのみならず、「子どもの森」に生息する野草等の
勉強会を通じて、多くの市民等に役立つ活動にも手を広げて逝きたいと考えています。最後に「会員が増える=ササユリが増える」ということは良いお手本として胸に刻み、会員同士楽しくボランティアに励みたいと思います。
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『ささゆりサポート隊』の参加者  |
ササユリの開花状況
「2025年6月8日現在」
文責:「ささゆりサポート隊」 世話人 竹内 重行
隊 員 浦田 好造

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